中国の企業ブーム
中国の若者たちの間で、インターネットを利用した起業ブームが起こっているという記事を目にする機会がありました。
また、その記事の中に、茶葉を扱う地方の企業で働いていた男性が、脱サラして茶葉の卸売り市場の近所に移り住み、淘宝網(タオバオ)で茶葉を売って利益を上げるという話があり驚かされました
参考:若者の起業ブームで変わりゆく中国の都市と農村背景に拡大し続けるオンラインショッピング(ダイヤモンド・オンライン)
そのやり方は、市場で売れそうなものを少しだけ買い、それをデジカメで撮影して、商品説明を付けた上でタオバオで国内向けに販売しはじめるというわけです。
そうして、注文を受けたら、その分だけ市場に買いに行き、即発送するというスタイルでサラリーマン時代より儲かっているというのですから、この男性は自前の“受注発注のシステム”を作り上げ、成功したということがいえるでしょう。
それでは、例えば全く同じ事を日本人がして儲かるでしょうか?
国内の茶葉の卸売り市場の近所に移り住む、あるいは、中国の市場に行ったとしても難しいでしょう。それは、彼は中国人だったから儲かったのであり、平均賃金が10倍近い日本人が中国の茶葉を取り扱ったとしても、彼と同じ感覚で“儲かった感”や“充分な利益”を得ることができないだろうからです。
まず、どこで商品を捌くのかという問題がありますし、さらに、彼の場合は仕事上で茶葉を取り扱った経験もあったわけです。対して、日本の素人が国内や中国の茶葉市場の近所に移住し、突然にYahoo!ショッピングや楽天、自社サイトなどを介して販売しはじめても、サラリーマンの給与以上の利益を上げるのは難しいでしょう。
そうすると、この中国人男性の成功プロセスは、日本人には適用されないのでしょうか?
そういう事もないでしょう。しかし、ハードルの低い事は皆が真似をしてすぐに陳腐化しますので、“覚悟”が必要なのだと思います。
例えば、以前、もう二度と日本には帰ってこない覚悟で、大連に進出した中小企業の社長さんがいたんだそうです。これは、一歩も後には引かないという背水の覚悟で進出しているのであり、また、その目的はビジネスを成功させる事なわけです。
アフリカに移住する?
例えば、アフリカ(あるいはミャンマーやインドネシア)に移住するとします。アフリカほどの遠方に移住するには覚悟がいるので、簡単に真似される事はありません。まず、言語の違いがハードルとなるでしょう。
そして、その国で最も大きな卸売市場の近くに住む、あるいは安宿を探してネット回線を確保する。それは大変な事ですが、それを成し遂げたならば、その後に件の中国人男性の成功プロセスを辿るような事が不可能ではないでしょう。
その市場には、日本人にとって珍しかったり、魅力があったり、利益率の高い商品があるかも知れません。また、それは日本以外にも販売できるかも知れない。
それは、覚悟の必要なほどのハードルを越え、また、リスクを背負う代わりに、得られる可能性のあるものなのです。つまり、需要次第の面があります。
そうして、実際に移住して、上記のプロセスを確立したならば、自ら販売するか、その代わりに小売店に卸すかという話になるわけです。